領収書の宛名「上様」はダメ?宛名と但し書きの正しい書き方
最終更新:2026年08月26日
「宛名はどうしますか」と聞かれて、毎回少し迷う。この曖昧さを片づけます。
結論:宛名が要るかどうかは、業種で決まります
インボイス(適格請求書)には、原則として「書類の交付を受ける事業者の氏名または名称」=宛名の記載が必要です。
ただし、次の業種は宛名が不要な「適格簡易請求書」を出すことが認められています。
- 小売業
- 飲食店業
- 写真業
- 旅行業
- タクシー業
- 駐車場業(不特定多数に対するもの)
- その他これらに準ずる、不特定多数の者に対して行う事業
つまりスーパー・コンビニ・飲食店・タクシーのレシートは、宛名が無くても問題ありません。「上様」でも空欄でも構いません。あのレシートは適格簡易請求書として有効です。
逆に、宛名が必要なもの
上に挙がっていない業種からの請求書・領収書には、宛名が必要です。
- 取引先からの請求書
- 士業への報酬
- ホテルの宿泊費(旅行業ではなく宿泊業のため、宛名が必要とされる場合があります)
- 備品を法人向けに販売する業者からの領収書
迷ったら「不特定多数を相手にしている商売か」で考えてください。レジに並ぶタイプの商売なら簡易請求書、こちらの名前を知っている相手なら宛名が必要、というのが実感に近い分け方です。
宛名の書き方
- 法人:登記どおりの正式名称。「(株)」ではなく「株式会社」と書いてもらうのが原則ですが、略称でも実務上は認められています
- 個人事業主:氏名、または屋号。屋号だけでも構いません
- 「上様」:宛名が必要な取引では避けてください。相手を特定できないため、要件を満たさないと判断される可能性があります
但し書きに「お品代」と書かれたら
これは断りましょう。インボイスには「取引の内容」の記載が必要です。「お品代」では何を買ったのかわかりません。
正しくは「事務用品代として」「書籍代として」のように、何を買ったかが分かる書き方を頼みます。相手が慣れていない場合は「品物の名前を書いてください」と伝えれば通じます。
軽減税率の対象が混ざるとき
飲食料品が含まれる場合は、その旨と税率ごとの金額が必要です。「食品(8%)」と「雑貨(10%)」が分かれて記載されているか確認してください。レシートなら自動的に分かれていることがほとんどです。
宛名を間違えられたとき
自分で書き直してはいけません。受け取った側が金額や宛名を修正した書類は、証拠としての価値を失います。
正しい対応は次のどちらかです。
- 発行してもらった相手に、訂正したものを再発行してもらう
- 自分で「修正した内容を記載した書類」を作り、相手の確認を受けたうえで、元の書類と一緒に保存する
2番目はインボイス制度で認められている方法です。実務では1番のほうが早いことが多いでしょう。
レシートと領収書、どちらがよいか
意外かもしれませんが、多くの場面でレシートのほうが証拠として優れています。
| レシート | 手書きの領収書 | |
|---|---|---|
| 品目 | 1点ずつ印字される | 「お品代」になりがち |
| 税率の内訳 | 自動で分かれる | 書かれないことがある |
| 登録番号 | 印字される | 書き漏れがある |
| 改ざんのしにくさ | しにくい | しやすい |
| 弱点 | 感熱紙で消える | ― |
「領収書をもらわないといけない」と思い込んでレシートを捨ててしまう方がいますが、逆です。宛名が不要な業種なら、レシートをそのまま保存するのがいちばん確実です。
唯一の弱点は感熱紙が数年で消えることなので、受け取ったら写真を撮っておいてください。
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レシートを撮って残しておく※ この記事は一般的な情報の整理であり、個別の税務判断ではありません。制度の適用にあたっては顧問税理士または所轄の税務署にご確認ください。